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ホンダ・シビック・タイプRに試乗する

2016/07/28

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シビック・タイプR乗ってきました。正直、乗る前に想像していた乗り味とずいぶん異なり、「タイプRもずいぶん変わったなあ」というのが偽らざる印象です。
ぼくの中ではその価格、ホット・モデルということでミニクーパーSと正面から競合する車ですが、実際のところこの2車はお金のかけどころや方向性が全く異なります(かの地では英国タイプRとはおなじ「ハッチバック」ということで良く比較されるようですが)。
乗る前に車を良く見てみると、やはりデカイですね。全長は4メートル50を超えているので、カレラよりも長いです。全高もけっこうありますね。ブレーキはブレンボですが、2ピースものです。リヤのディフューザーはリヤバンパーに貼り付けただけのものではなくて、きちんと大きな面積をカバーしています。タイヤはSタイヤのようなルックスの専用タイヤ。冷えているときでもツメで押せばツメ先がタイヤにめり込むほどのやわらかさで、やはり小石などをいくらか吸着しています。

ドアを開けて乗り込むと、そこはやはりベース車の面影が残っていて、けっこう地味ですね。キーもミニに比べると味気なく、物足りなさも感じます。少し違和感があったのはシートの高さで、ギリギリまで下げてもけっこう高いのです。メーターの配置は上にスピードメーター、下にレブカウンター、という順番ですが、スピードメーターを見るのにも視線を下方へ移す必要があり、レブカウンターに至っては走行中に瞬間的に読み取るのには慣れを要しそうです。シフトインジケーターがスピードメーター横にもありますが、やはり慣れないと見づらいですね。これは購入したらシート下げないとな、と考えながら各ペダルの位置を確認。適度にタイトで、適度な高さに合わせられています。これもシートと同じく、最近のユーロRなど走り系モデルに共通する特徴(もしかすると他のホンダ車にも)ですね。しかしながら微妙に取り付け剛性が低いのか、そういった仕様を好むのか、やや遊びが大きく曖昧なフィーリング。各ペダルのストロークがやや浅く感じられるのもホンダ車の特徴です。シフトは適度な重さを伴い、抵抗無くゲートに吸い込まれます(ぼくはゲートの入り口でやや抵抗がある、というか持たせているようなフィーリングが好きです。言うなればクリック感のような)。ストロークは短いですね。
エンジンを始動させると、思ったよりも車内が静かであることに驚きつつ、ゆっくりとスタート。初期型S2000のようなナーバスさを持っているとの想像に反して、かんたんにアイドリングスタートで走り出すことができ、すこし驚きます。車道に出るまでの歩道の段差越えも鋭い突き上げを感じさせず、どちらかというとおおらかな感じ。ゆっくりとシフトアップしてゆきますが、通常のスピード域ではロードノイズが少ないですね。道路の段差を越えてもゴツゴツした感覚はありません。排気音も小さめ。うねった路面でも車体を揺すられるような印象はありません。このあたりは「普通に運転すると普通(かそれ以上)の乗り心地の良い車」で、ぼくはこういった乗り味を非常に好みます。こういった、普通に走っているときに疲れないようなペダルの遊びなのか、と思ったりしますが、これだと疲れているときでも楽に走れそうです。
ちょっと回転数を上げてみるとカムが高回転に切り替わり、一気に排気音が大きくなり、そして車の性格が豹変します。加速中も姿勢は乱れず、矢のように加速しますね。このあたりは路面の影響をすぐに受けて加速中でも姿勢が乱れるミニとは異なります。ブレーキをガツンと踏んで、練習中のH&Tで回転数を合わせてシフトダウン。ブレーキはカックンではなくて、踏力に応じて反応するタイプ。ブレーキング中も姿勢の乱れが無く、このあたりもミニと異なるところです。エンジンのレスポンスはさすがで、アクセル操作に対してシビアに反応。走り出す前は気になったペダルは走行し出すとまったく気にならず、違和感なく操作できます。ハンドリングに関してはFFということを意識させないニュートラルな印象です。切ったら切った分だけ曲がる、素直な特性ですね。全高は高いですが、重心の高さを感じさせずにきれいに曲がります。実際に走り出すと地味なインテリアなどに気を遣う余裕などなく、ドライバーを運転に集中させてしまう楽しさがあります。トランスミッションは6速ですが、これはタウンスピードよりもサーキットを念頭に置いたギアリングです。そして、このタイプRのエンジンは高回転型(レブリミットは8400くらい)であり、回転と共にパワーを絞り出す特性を持っています。現在は台形トルクカーブを描くエンジンが主流ですが、ある意味クラシカルで、そして速く走らせるためにはドライバーに適切なギアの選択を要求します。たとえば追い越しの際、ミニクーパーSはその最大トルクを1700回転から発生させます。なので、シフトチェンジしなくても、アクセルを踏めば、「グイ」と車が前に出ます。ですが、タイプRはそうではなくて、思い通りに走らせるには、レブカウンターの針を一定以上のゾーンに閉じこめておく必要があるわけです。周囲の状況、次の自分の動作、車の状況、全てを予測し適切なギアを選んでおかないと、車の性能をじゅうぶんに発揮できない、ということです。もちろんそうしなくても普通の車よりはずっと速く走ることができますが、せっかくのタイプRなので、やはり速く走らせたいですよね。燃費が悪くなりそうです。
今のぼくのレベルで言えば、ある程度の失敗やズボラな運転を許容してくれるミニクーパーSの方が(おなじぼくがタイプRを運転したと考えて)速く走れると思います。しかし、エンジン回転数を操り(やはりタイプRの一番の魅力はこれだと思う。エンジンが主、ブレーキやハンドルは従の関係にあるような気がする)、意のままに車を操る楽しさ、という点ではタイプRが遙かに上でしょう。もちろんミニにはタイプRにはない特徴や満足感もあって、本来は比較の対象ではないことは承知の上ですが、上でも述べたとおり、ぼくのモノサシではじゅうぶんに同じ土俵にあるのです。
タイプRを運転することで、エンジン性能を最大に引き出すためのブレーキング、そしてそのための技術がいかに重要か(コーナリングまで思う存分試す機会がなかった)ということを改めて考えさせられましたが、ぼくは、このようにドライバーに何かを考えさせる車、というのが大好きです。運転して、考えて、それに応じた動作をするように心がける、という行為が速く走るためにも安全運転のためにも重要だと考えているのです。なぜ速く走れたのか、なぜ速く走れなかったのか、たとえそのときは出来なくても、次にはできるように努力することが大切だと思うのです。

そんなわけで早速ミニを査定に出しましたが、ほぼ追金無しでタイプRが買えそうなので、微妙に悩んだりするわけです。

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