●その他自動車関係(日本車) ●試乗(TEST DRIVE)

日産GT-R(R35)に試乗する

2016/08/03

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R35GT-R運転してきました。今までは何度か助手席に同席させていただいたことはありましたが、自分でステアリングを握るのは、これがはじめてです。その結果、いくつかぼくの中で整理できなかったことがはっきりと明確になりました。

試乗車については、おおっぴらにアピールすると希望者多数、となるということで、購入希望者またはそれに順ずる顧客を対象としている、ということでして、人目についてはいけない、ということでこっそりディーラーの建物裏口から出て、これまた建物裏手に置いてあって一般訪問客が見ることのできない格納スペースへ置いてあるGT-Rへと人目をはばかりながら乗り込むわけです。

キーはアレですね、今流行の「持ってるだけでOK」というヤツです。さすが日本車ですね。ドアを開け、シートに座ります。シートはさすが定評のある日産、しっくりとなじみます(ぼくは日産のシートが大好きです)。また、車内はなつかしい「日産の香り」がして、落ち着きますね。車内はその車体サイズから考えられるよりタイトに感じます。電動シートを調整してドライビンゴポジションをあわせ、センターコンソールにあるボタンを押してエンジンに火を入れると、「ボボン」という太い音とともにエンジンが目覚めます。予想していたより、そして車外から聞く音よりも大きく感じ、ちょっとヤル気が出るわけです。車体は大きいですがドアミラーも大きく、着座位置も高いので見切りは良好。車両感覚も掴みやすいですね。セレクターレバーを自動変速レンジへ入れ、パーキングブレーキを下ろし、ブレーキペダルからゆっくりと足を離すとクリープがはじまるわけですが、クリープも想像していたよりは強めです。クリープに加えゆっくりとアクセルを踏んで駐車場を横切るときには、「ちょっとザラついた」感触を感じました。カレラのように、フリクションロスの少なさを感じる「透明感」というものがあまり感じられませんでしたが、これは4WDという特性に依存するものかもしれませんね。

あいにくの雨で路面はウエット。とりあえずゆっくりとディーラーの敷地をゆっくりと出ます。段差を越えるときもけっこうマイルドに感じます。あまり「ガツン」という衝撃はありません。そのまま車道を走り出すと、やはり気になるのは小さな路面の凸凹を拾うこと。あまりに道が悪いと、ちょっと内装(天井付近)から異音が出たりします。前がオープンになったところで、ゆっくりと、しかし深く踏み込むとタービンの音とともにパワー炸裂。しかし意外と排気音は静かなままです。姿勢変化もまったくと言って良いほど無いですね。2速以上の変速はゲージを見ていないと、そしてエンジン音を聞いていないと変速したことがわからないくらいスムース。正直なところゲームセンターのマシンに座っているような感覚で、アクセルを踏むだけで勝手に変速し、気づけばとんでもない速度に。そういえばヤナセで試乗中に時速170キロで人をはねてしまいエライ騒ぎになったニュースがあったな、と思ってちょっとアクセルを戻します。

そのままディーラー営業さんの計らいで信号機の無い山道に突入。かなり雨も降っていますし、ぼくの感覚では「リヤが出るだろうな」というところでも全くリヤが出ません。それどころかアンダーも出ません。おまけにステアリングを切るとさらにグイグイ曲がります。ロールもほとんど感じません。ブレーキング時の姿勢もビシリと安定しています。アンダーもオーバーも出ない、アクセル踏んだら加速する、ブレーキ踏んだら止まる、とにかく姿勢変化が少ない、という点ではまさにゲーム機のような感覚ですね。かなり安心して踏めます。
しかもスピードメーターは340kmスケールですので、ちょっとやそっと踏んだくらいではメーターの針がちょっと動いているだけにすぎず、しかも排気音、エンジン音ともに静かですので、とにかく「オレは今、GT-Rを運転しているッ!」という感覚が希薄で、現実味に欠ける乗り物でした。何度も書きますがゲーム機に座っているような感覚、もしくはシミュレーターを操作しているような感覚で、とにかく現実味が感じられず、「事故ってもリセットボタンを押せばいいや」というような錯覚に陥り、はじめて乗るのにとんでもなく踏んでしまう車であります。

最後に駐車場に戻ってバックにて駐車しましたが、前進に対して後進のクリープが少なく(無い?)、また前進とのギア比のギャップがあるのでちょっと戸惑いました。最近の日産車はアクセルに反発力を持たせたりしていますので、この後進と前進とのギャップについても、事故防止などなんらかの意図があるものと推測します。

正直、そのときハンコ持ってたら買ってた。

それが当時のぼくの心境なわけです。

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しかしながら、GT-R試乗でカレラが色あせてしまったのか、というと必ずしもそうではないのですね。逆にカレラの美点もはっきりと理解できたわけです。先のエントリーのように、「カレラとGT-Rをガレージに並べるのはなんとなくキャラが被るような気がする」という理由で、GT-Rは991登場までの「ツナギ」として購入するか、という考えであったのですが、GT-Rのステアリングを握った後では、カレラとGT-Rを入れ替えることはありえない、そう断言します。入れ替えるのならミニ。絶対にミニ。
主にぼくの環境や、精神的なものに起因しますが、理由は三つ。

まずひとつ。ぼくの中ではGT-Rはカレラと同じように認識できる車ではない、というのがその理由です。ぼくは現在、ポルシェを通じてじつに多くの方と知り合うことができ、その中で現在のぼくの立場、というものがあるわけです。仮にカレラとGT-Rを入れ替えて、そしてGT-Rを通じて今現在と同じような仲間と知り合うことができるだろうか、そう考えたとき、「おそらく無理だろう」と感じたのですね。もちろんぼくがポルシェを降りたからといって現在のお知り合いの方はぼくを突き放すことは無いことは十二分に理解していますが、ある意味ポルシェ(現在ではカレラ)はぼくの存在意義、つまりレゾンデートルでもあるわけです。

そして二つ目の理由が、「車と人との対話」。こう書くと非常にあいまいなものですが、正直なところ、対GT-Rにおいて、カレラが優位に立てるのは、そのような「感覚」による部分しか無く、しかしそれは、人によってはそうでは無いかもしれないけれど、ぼくにとっては重要な部分なのです(しかし絶対でも無い)。たとえば、エンジンをかけたときの左右に揺さぶられる感覚や、路面の小さな段差を乗り越えるときの微細なショックまでも伝えるサスペンション、クラッチを繋いだときの圧着感、クラッチを切ったあと、どこまでも転がり続けるかのようなフリクションロスの少なさ、速度に比例して軽く感じるステアリング、5000回転を超えると「クマでも中に入っているんじゃないか」と思えるようなエンジンの轟音。良い点悪い点それぞれが、直接ぼくの感覚に訴えるわけで、それらの感覚を放棄してゲームマシンのようなGT-Rに乗り換えるのは一種耐え難い錯覚(一種のノスタルジー)に陥るわけですね。
もちろんGT-Rを否定するでもなく、もちろん最新テクノロジーを駆使して造られた最新で最高の車である事は理解しています。しかし、ぼくはまだGT-Rに慣れることはできませんし、カレラと入れ替えたあとにも慣れることができなければ、ぼくは言いようの無い悔恨の念を感じるはずで、そういった意味で、しかるべき時が来るまで、つまりGT-Rをぼくのコア・バリューとして捉えることができる日が来るまでカレラを尊重したい。そういった個人的な感覚とカレラに対する愛着のようなものであります。

そして三つ目。これはGT-Rが様々な環境の試乗において、「まったくストレス無く乗れた」ことにあります。日産のうたい文句に「日常使えるスーパーカー」というようなものがありましたが、まさに日産のうたい文句に相違なし。サイズを感じさせない見切りのよさも大きなプラスです。全然普通にラクに乗れるわけです。この部分においても、運転するときにはある種特別な感情を持って接しなくてはならない、そして特別な印象を受けるカレラ(ぼくだけ?)と全く異なる部分であり、日常使っているミニと入れ替えた方がぼくのライフスタイルに合っているんじゃないか、と感じたのですね。

いろいろと書きましたが、「こんなのアリかよ」というのが、R35GT-Rを運転した正直な感想でして、以前、慶応出身の早稲田君という、矛盾を抱えた友人がいたわけですが、彼はR32GT-Rのフルチューンに乗っていたのですね。ビッグタービンはもちろんそれに伴いインタークーラー、CPU、インジェクター、ガスケットその他モロモロで500馬力を絞り出すGT-Rだったわけです。そんな彼が、ふとR34GT-Rに買い換えたのですが、はじめて34GT-Rを運転した後に彼が言ったのも「こんなのアリかよ」というひとことでした。R34GT-Rは新車購入ですのでフルノーマルだったわけですが、彼の以前の車、すなわちフルチューンR32GT-Rに比べて遙かに速く、しかも快適で操縦性が良く、「今まで自分がやってきたチューニング全てが無意味に思えた」ために自分の人生を否定されたというか、あまりにあっけなく速く走る車に拍子抜けしたのだと思いますが、とにかくぼくもあまりに簡単に、そして自分の腕以上に速く走る車に拍子抜けしてしまったわけです。「ついにここまで来たか」という感覚、そして「良くこんな車を造ることができたなあ」という思いがあるのですね。

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しかしながら、さまざまな問題もあり、まずはガソリン。GT-Rは燃費においてミニの約半分です。つまりガス代が倍。保険においても7/5/4/4?とミニよりも相当に高くなりそう。しかもミニのように年間2万キロ以上走れば、4本で70万とも言われるタイヤ交時期がすぐにやってきそうな気配。ガレージも整理しなければGT-Rは収まりそうにありません。他にもいろいろと未知数な部分があるわけです。正直、かなり購入に傾いていますが、現在は様々な状況をクリアする必要があります。

ちなみに現在は08モデルの受注は停止済み、09モデルは12月から受注開始予定だそうです。変更内容としては、5馬力UP、燃費も0.1km/L向上、パールホワイトがソリッドのホワイトに、ホイールの色調も変更され、燃料タンクが71>74Lに。価格はベースモデルで80万ほどUP、ブラックエディション以上は85万UPの予定だそうです。さらにはナンバープレート取り付け位置変更に伴う全長の変更。5PS程度であればCPUプログラム変更程度で物理的な変更は無さそうですね。

ぼくがGT-Rに対して思うのは、「GT-Rが何にも似ていなくて良かった」ということなのですね。開発や、セールスにあたっては他車をひきあいに出していますが、デザインやそのパッケージングが「GT-R独自のもの」であることが重要であると思います。外観が何かべつの車、たとえばフェラーリやポルシェに似ていたら、かなり興ざめしていたと思うのですよね。

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