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マクラーレンMP4-12Cスパイダーに試乗する

2016/09/23

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マクラーレンMP4-12Cスパイダー試乗。
八光さんの主催する完全予約制のイベントで、レーシングドライバーの井入宏之選手、新井敏弘選手の同乗・運転による高速道路〜特設ジムカーナコースでの試乗です。

大阪・本町のショールームに着くと、まずは自分の名前の入ったカードが。

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この後試乗に関する誓約書にサインし、いざ試乗に。
試乗車は2台で、一台はカーボンパーツをオプションとしてふんだんに盛り込んだ車両、もう一台はややラグジュアリーなオプションが組み込まれた車両。
ぼくと一緒に走ってくれることになったのは、日本最速ラリードライバーと言われる新井選手。車両はカーボンてんこ盛りの方です。
2台とも同じ色に見えますが、実際はちょっと色が異なるようですね。
ちなみに新井選手はレーシングーツで登場され、このイベントの本気度が伺えます。

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ドアを上に持ち上げ、異常に太いサイドシルをまたいで室内に。
シートポジションやステアリングポジション、ミラーを調整し、シートベルトを締めてエンジンスタード。
エンジンのスタートボタンはセンターコンソールにあり、ブレーキペダルを強めに踏み込みながらスタートさせます。
始動したときの音は思っていたよりも野太く、ワイルドな音。ぼくはもっと繊細な音を想像していたのですが、かなり大きめのナイスサウンドですね。

車をゆっくりスタートさせますが、ギクシャクしたところはなく、するりと動き出します。
デフォルトは自動シフトチェンジなのか、一定回転数以上になると自動的にシフトアップします。
パドルはやや小さめで、ステアリングと一緒に回る方式ですね。
走り出しても意外と排気音は大きく、ヤル気が出ます。
高速道路に乗るまでは大阪市内のオフィス街を抜ける事になるのでストップ&ゴーが多いのですが、デュアルクラッチのおかげでスムーズに走ることが出来ます。
なお、クラッチは湿式(フェラーリ458は乾式?)で、シフトショックは極小。ほぼ無い、といっても良いレベルです。

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フロントの視界は良く、ボンネット中央(トランクはガヤルドより広い。911と同じかもう少し広い?)が低いので真正面の視界が開けており、左右フェンダーが盛り上がっているので左右の見切りも良いですね。
ドアミラーは小さめで、これでよく欧州の基準をクリアできたなあ、というサイズですが、ステーが長く車体外側に伸びているために後方確認するのに不足はありません。
ただしルームミラーを介して、または目視による後方視界は絶望的で、これはスパイダーがトンネルバックを採用していることに起因していると思われます。

さて、高速道路を走り、合流を繰り返しながら目的地(北港の特設ジムカーナコース)に向かいますが、運転は快適そのものですね。
エンジンは3.8リッターツインターボ、出力は625馬力。後輪駆動なので一輪あたりで312.5馬力を負担する事になりますが、まったく不安無く運転できます。
エンジンは大きなトルクがかなり下から発生するタイプで、普通に走ると1500回転くらいで自動的にシフトアップ。先にも述べましたがシフトショックはほぼ無く、排気音が変わったことでシフトチェンジが自動で行われたことが分かるレベル。
トランスミッションは7速ですが、時速100キロだと1700回転くらい、とのことですのでかなり燃費も良さそうですね。

ステアリングはかなり小さく感じますが操作感は軽くも無く重くも無く。
ペダルはアクセルペダルとブレーキペダルとの高さが揃っているように感じ、ヒール&トゥが行いやすいのかもしれませんね。
また、アクセルペダルとブレーキペダルの位置が(左右に)離れており、新井選手いわく「左足ブレーキを使いやすい構造」とのことでした。

なので、ガヤルドと同じ感覚でブレーキペダルを踏もうとすると、そこにペダルが無いので少々焦ります(VWアウディグループの車は総じてアクセルとブレーキペダルが近く、かつブレーキペダルがかなり高い位置にある)。

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特設コースに到着し、まずは新井選手の運転にてフル加速&高速ジムカーナを体験。
これがけっこう強烈で、正直直線の加速にはかなり驚きました。
数字としては0−100km/h加速が3.3秒で、ぼくが今まで運転した車の中ではもっとも速い車になりますが(最高速度も時速333キロで最速)、ツインターボの威力は凄まじく、ガヤルドとはまったく違う加速の感覚です。
ガヤルドだとスーパーレッジェーラが同3.4秒ですが、ガヤルドは4WD、そしてNAという(マクラーレンMP4−12Cとの)違いがあります。
スタートはガヤルドの方が鋭く、エンジンの回転数に合わせてスピードが伸びてゆきますが、途中にシフトチェンジという「つなぎ」が入るわけですね。ガーッと加速してガツンとシフトチェンジ、またガーッと加速してシフトチェンジ、を繰り返すわけです。
ですが、マクラーレンMP4−12Cの場合はデュアルクラッチ、かつ湿式クラッチという事もあり、シームレスに加速するわけですね。
かつ2WDですので4WDのような「飛び出し」というよりは後ろから押されるような感覚でスタートし、そこからターボが効いて怒濤の加速に移る、というイメージです。
よって、エンジン回転数ととともに速度が伸びてゆくガヤルドに対し、マクラーレンMP4−12Cは途中からターボによって急激に加速するわけで、その急激な加速部分がまさに「異次元」なのですね。

新井選手の運転の後、自分が同じコースを運転するのですが、正直かなりビビリが入り、一本目はまともに踏めません。
車をどこかへ当てたりスピンさせてはいけない、という心理も働きますが、やはりその加速にちょっと恐れをなしてしまうわけです。
ですが、数本走るうちには慣れ、ずいぶんと踏めるようになります。
それでも怖いほどの加速である事には変わりなく、クローズドで、かつ前方に余裕のある直線コースで、しかしあまりの速さに思わずアクセルを緩めてしまう、という情けない状態を何本か繰り返しました。

高速スラロームについてはミドシップならではの素直な回頭性が感じられ、さすがというかF1譲りのメカニカルグリップの素晴らしさが感じられますね。
結構荒れた路面でしたが、どこかへ飛んでゆくという不安も無く、しっかり踏めます。
ハンドルを逆に切ったときの揺り戻しも無く(このクラスでは当然ですが)、ひらりひらりとパイロンを狙い通りにかわせます。

ぼくの未熟な技術でも狙ったラインを外す事はありませんので、これは腕のある人であれば相当に楽しいだろう、ということは容易に想像できますね。

そして特筆すべきはブレーキで、まさに「踏んだら踏んだだけ」停まるブレーキです。
停車する距離も非常に短く、ジャダーやふらつきは一切なし、意図的に急ブレーキ中にステアリングを切っても車体の挙動に一切の乱れは無く、ビタリと停まります。
コースではもう一台のマクラーレンMP12−Cが走行していましたが、急ブレーキを踏む場面ではリヤウイングが立ち上がってエアブレーキが効いている様子が見られ、かなりこれは効果がありそうですね。
急ブレーキ時にはABSも作動しているそうですが、ABSの介入はまったくといって良いほどわかりません。あの「ガガガ」という衝撃が無いのですね。

ぼくは今まで、ここまで速い車にも乗ったことがなく、ここまで停まる車にも、ここまで曲がる車にも乗った事がなくて、これはちょっとした衝撃であります。
やはりF1コンストラクターは違うなあ、ということを肌を持って感じた瞬間でした。
試乗のメインが特設会場(クローズド)といったこともあり、公道ではとうてい試すことができないパフォーマンスを楽しめたことも非常に良い経験で、会場まで自分で運転してゆきながらも、往路と(会場で性能をちょっとだけ引き出した後の)復路とでは、かなり違った印象を抱き、当然ながら復路は高感度大幅上昇でした。

ボディ、サスペンション、内装についても、いくらハードな運転をしてもまったく異音が出ないので、かなり組み付け精度が高く、かつもととなるボディの剛性が高い事がわかります。
また、タイヤのスキール音も「わずか」しか車内に入らないので、気密性もかなり高そうですね。
反面、排気音は意図的だと思いますが、かなり車内に入るようになっています。

乗車しているときに目に入る風景も独特で、低速で走っても「マクラーレンを運転している」ことが実感できますし、いざとなると簡単にパフォーマンスを引き出す事が出来る素晴らしい車ですね。
普通に走れば普通に難なく運転できますし、それなりに走ろうと思えばそれなりに走ることもできます(当然ですが)。
これらは、物理的に各部を制御していた時代ではなし得なかったことで、車両を電子的かつ総合的にマネージメントする高い技術があってこそはじめて可能となるもので、まさに新時代のスーパーカーと言えるでしょう。

ぼく的な印象としては、マクラーレンMP4−12Cは、そのスタイリングや馬力、価格からガヤルドや458のライバルとされているものの、実際のところ性能面ではポルシェ911ターボが直接の競合ではないか、と思いました。
ガヤルド、458も独自の世界観を持っている車でありますが、それらは「パフォーマンス」というところがおそらくはもっとも重要なものではなく(ランボルギーニにおいてはデザイン、フェラーリにおいてはエクスクルーシブ?)、しかしマクラーレンMP4−12Cの再重要項目は「パフォーマンス」であると思ったのですね。
その意味ではポルシェとくにターボに近い、と感じたわけです。
各部の操作した感覚は、ガヤルドや458よりもポルシェ911(991)に近い、と感じたこともありますが、近々に登場するであろう新型ポルシェ911ターボがもっとも近いライバルになるかもですね。

ちなみに新井選手は現在997(GT3)にお乗りで、その前はガヤルド(MT)にお乗りだったとのことで、ちょうどぼくとは逆(997→ガヤルド)で、いろいろとお話しできて非常に楽しかったです。

最後になりましたが、八光さん、そして新井選手にはお礼申し上げます。

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