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フェラーリ458スペチアーレに試乗。フェラーリの未来を感じさせるベスト・ハンドリング・マシン

2016/09/13

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運良く、フェラーリ458スペチアーレに試乗する機会を得ることができました。
結論から言うと、ぼくが運転した中での「ベスト・ハンドリング・マシン」である、と断言できます。しかもブッチギリのベスト、です。

試乗車はホワイトのボディカラーにグレーのストライプ。
内装はブラックとレッドのアルカンターラです。
カーボンパーツがふんだんに使用され、ブレーキキャリパーはカッパー、というなんとも渋い車両。

まずはリモコンでロックを解除しますが、目に入るのはスパルタンな金属製のスカッフプレートとフロア。
ドアを開けて体を滑りこませ、ほどよくタイトなシートに身を沈めます。
ドアの内張りはカーボンですが、ドアを閉める時には重厚な音をたてて気持ちよく閉まり、カーボンがビビるような低級な音はしません。

458イタリアを以前に運転したのはけっこう前なので操作系について思い出しながら各部を調整。
キーをスロットに差し込んで捻り、ステアリング上に設けられたスターターボタンを押してエンジンを始動させますが、レーシングカー然とした甲高い音でセルが回り、一瞬でエンジンが始動します(たぶん458イタリアはこういったセルの音ではなかったような記憶がある)。

室内に入ってくる振動や音は458イタリアよりもちょっと大きいか?という程度。
パドルを引いて1速に入れると自動的にパーキングブレーキが解除され、ステアリングホイール上に設置されたウインカーを操作していず走り出します。
このステアリング上のウインカーは乗ってから最初の2−3回は意識して操作する必要があるものの、しばらく走ると完全に自然な操作が出来るのが不思議。
きっと人間の直感で操作できるように設計されているのでしょうね。

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走り出してすぐに感じるのはその「軽さ」。
クリープが無いので走り出す時にはアクセルペダルを踏む必要がありますが、その「出だし」が非常に軽いことには驚かされます。
狭い路地を右に左に曲がるような場面でもギクシャクした動きを見せず、このあたりは乗用車ライクに運転が可能。
2000回転前後で普通に走ることができ、このあたりは最近の車、という感じですね。

足回りはかなり固めですが、跳ねるわけではなくどっしりと地面に根が生えているかのような印象。
ダンピングモードの変更はスイッチで可能ですが、デフォルトの「硬い」設定の方が車の性格やエンジン、ハンドリングにマッチしているように感じました。

ペダル類の重さは軽くも無く重くもなく。ステアリングはフェラーリの伝統に則りやや軽め。
視界は良好で(後ろはあまり見えませんが)、周囲の安全確認にさほど気を遣うこともありません。
このあたりボクスターより見切りが良いか、同じくらいという印象です。

少し開けたところでアクセルをぐっと踏んでみますが、どのギア、どの回転数からでも瞬時に求めるパワーが出るのはちょっと驚きで、トルクが付いてくるのを待つ必要は全く無し。
このあたりも458イタリアとは異なる部分であり、異常な身の軽さを実感できます。
(そう考えると、このリニアさをターボエンジンで実現できるか?と言われた場合には疑問を感じざるを得ない。もちろんフェラーリ自信がそれを一番良くわかっていて、だからこそ電子ターボの開発など行っているのだと思いますが)

もうひとつ驚くのは変速のスピード。体感的にはタイムラグ0.0秒では?というほどの素早さで、しかも変速ショックはほぼ皆無。

印象としてはとにかくダイレクトで、アクセルを踏めば思ったように加速し、ブレーキを踏めば踏んだだけ減速し、ステアリングを切れば切っただけ正確に曲がります。
ギアも操作と「同時に(比喩ではなく本当に同時に)」切り替わる、というおまけつき。
こういった動きが出来る車は非常に少なく、加速だけ取れば458スペチアーレよりも優れる車はいくつかあると思いますが、「操作に比例して」自分が必要と思っただけ、少なくもなく多くもなく加速する車は今のところフェラーリ458スペチアーレを除いて知りません。

ハンドリング、ブレーキングに関してもそれは同じで、完全に意のままに操ることが出来る、という印象があります。
相当に速い車ではありますが、その速さに対する恐怖は全く感じず、むしろその速さを存分に楽しめる車である、とも言えます。

いかに速くとも「怖い」と感じるのであれば、自分がその車に対していくばくかの不安を無意識のうちにでも感じ取っていたり、信頼できなかったりする(要は走る曲がる停まるのバランスがどこかおかしい)のだとぼくは考えています。

ですが、フェラーリ458スペチアーレの場合、完全に車の性能を自分の支配下に置くことが出来る、という自信と信頼を感じることができ、とことんまで攻めることができるようにセッティングされていると思うのですね。
重要なのはあくまでも、ぼくの腕がそのレベルにあるというわけではなく、車がぼくの腕以上のものを引き出し、その結果今までに無いレベルで走行ができ、今までに無い楽しみを与えてくれる、ということです。

こういった車は非常に少なく、同じように初めての運転でも十分に楽しめた、というのは他ではランボルギーニ・ガヤルド(LP560-4とLP550-2)、あとはホンダS2000ですね。

正直なところ予想を遥かに越えるレベルのパフォーマンスを持っており、ここ最近ではもっとも驚かされた車であり、もっとも欲しくなった車、と言えます。

フェラーリは、最近報じられている通り、「操作に対する遅れ」を非常に気にしており、ステアリングやターボに関してもこれを回避するための研究を行っていて、いくつかの特許でもそれを確認することができます。
とことん「感覚」に忠実な動き、正確に言うと操作に対する期待値との乖離の少なさを追求している、と言えますね。
ここが単に最高速度や馬力、一部のパフォーマンスだけを狙ったメーカーや車種とは異なるところで、もはや最高速度が人間の手に負えないところまで出せるようになったり、スピード自体が悪と見なされるようになった現代において、「別の価値観」の創出を狙ったものだと考えられます。

ランボルギーニは「最高速」のプライオリティを下げて「ハンドリング」のプライオリティを第一に設定しましたが、フェラーリやランボルギーニという、歴史的に常に最高速度の第一線にいたメーカーこそががいち早く「スピード」よりも「ハンドリング」を重視し始めている、というのは興味深い事実です(そして新興メーカーの方がスピードを追求しアピール手段に用いていることも)。

以前はポルシェを例に挙げて「セッティング(乗り味の演出)がいかに難しいか」という内容をアップしましたが、フェラーリやランボルギーニ、もちろんポルシェも、これまでの経験を活かして新しい基準での車作りを行っている、と言えるでしょうね(その他のメーカーにとって、乗り味の演出は容易ではない)。

とにかくフェラーリ458スペチアーレは素晴らしい車であり、いろいろと考えさせられるところの多い試乗となりました。
もしフェラーリ458スペチアーレの即納車があって、「どうしますか?」と聞かれたら、全財産をなげうって、銀行にお金を借りに行ってでも購入すべき車、と自信を持って言えます。

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