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F56ミニクーパーS(初見と試乗、インプレッション)~7

2016/09/21

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ブランドビジネスに熱心なのは主に欧州で、ルイ・ヴィトンを要するLVMHグループやカルティエを核とするリシュモングループが有名ですよ ね。
自動車だとVWアウディ帝国、BMWグループ(なぜかメルセデスはあまりブランド買収に熱心ではない?)。
欧州はお金持ちになってからの歴史が非常に長い国々が多く、米国や日本とは比較にならない歴史があります。
ブランド成立の一つの要件は「歴史」と言いますが、欧州の企業はそれを理解しているので、ブランドの買収に熱心なのだと思います。
(貴族が家柄などを気にするのと同じだと思われます)

現在の新興国でのビジネスにおいては「ブランド」は大きな意味を持ちます。
日本でのバブル期には絵画やブランド(企業、モノ)を買いあさったように、歴史の浅い国や人は、歴史を求める傾向があります。
(すべてではないですが)成り上がりがハクを付けたがるようなものかもしれません。

たとえば大きな市場である中国では、誰もクラシックミニのことを知らないんですよね。
ミニというとBMWの派生車種と捉える向きが一般的です。
かつ、自動車が発展してきた歴史も知りません。
カセットテープやCDを飛び越えていきなり圧縮デジタル音源が普及した国ですし、自動車もいきなり欧米が持ち込んだV6エンジンあたりが普及 した国です。

ポルシェについても殆どの人はスポーツイメージを持たず、「カイエン」「パナメーラ」のほうが有名で人気があります。

そういった国々の人に「ミニの歴史」を説明したり、頑なにその歴史に固執するのはナンセンスで、彼らが求めるのは「過去に忠実なクラシックミ ニ」ではなく、「歴史の基づく、今のミニが持つブランド価値と意義」だと思われます。

よってBMWは過去のイメージに囚われるのではなく、それを最大限に活かしつつも、最新のテクノロジーおよびインターフェースで武装し、商品 価値を最大限に高めているのだと思われます。

クラシックミニからR50にモデルチェンジしたとき、「いきなりR50を考えたわけではなく、クラシックミニからR50との間にいくつかのモ デルが存在し、正当な進化を経てきたと想定して」R50をデザインした、というデザイナーのコメントがありました。
つまりクラシックミニから何世代か架空の(それぞれの時代に対応した)ミニが存在し、その後継としてR50が登場した、ということですね。

実は「ブランドの成立要件のひとつは歴史」といったのは他ならぬBMWなのですが、やはりBMWはブランドの活用についてかなり考えているも のと思われます。
ロールス・ロイスも今ではBMW傘下ですが、これもBMWに移ってから大きく成長していますね。
中にはスーパーカーのノウハウを吸収するためにランボルギーニに資本参加したり、オフローダーの設計技術を得るためにレンジローバーを買収し たりという特殊な例(用済みになれば提携解消や売却)もありますが、それもブランドの持つ資産(この場合は技術)を評価してのことだとも考え られます。

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よって現在のミニにおけるミニらしさとはBMWが考え定義する「ミニらしさ」であり、必ずしも消費者が抱くものと一致しないのは確かだと思い ます。
しかし消費者の抱くイメージは人それぞれ、国ごとに違いますし、ミニは世界戦略車なので、それをひとつひとつ拾い上げるわけにもゆきません。
全盛期のソニーの社長が「マーケティングなど無意味。消費者は我々が何をできるか知らないのだから、それを知ろうとするのではなく、消費者が まだ知らない製品を提供すべきである」と発言していましたが、まさにそのとおりであって、BMWは自社の新しいテクノロジーをもって、ミニの 持つブランド価値を最大限に活用して世に問う、提案するのがF56であると言えます。

過去ばかりを見ていても既存ユーザーの乗り換えしか期待できないかもしれませんし、新しいユーザーを獲得してブランド価値を向上させなければ ミニというブランド価値も下がってしまいます。
現在ぼくはミニユーザーではありませんが、またミニユーザーに復帰できたとして、人々がミニというブランドに抱くイメージが「あの昔っぽい車 だね」と言われるよりは「何か面白い車を出してくるブランドだよね」と言われる方が嬉しいと思うのです。

ぼくは過去に生きるよりも未来に生きたいと思いますし、自動車の中にも過去を見るよりも未来を見たい、と考えています。

そういった意味でF56ミニは、ぼくに「未来」を垣間見せてくれる車ですし、おそらくクラシックミニからR50を登場させたようにBMWの考 える長いタームでの延長線上にあるもので、今後何世代かモデルチェンジを繰り返したとしても、そのライン上では「正常進化モデル」として認識 されると思うのですね。
F56ミニは、「灯火類がLEDになった」「カーナビが付いた」「インターフェースが最新になった」「エンジンが 2リッターにサ イズアップした」ことに加えて最新のインターフェースを持ったことを考えると、この価格設定は「破格」に近い安さなんじゃないか、とぼくは考 えています。
この価格でこれだけの性能とユーザーインターフェースを持つ車はまず無いですし、この価格でこれだけ楽しめるので あれば、かなりコストパフォーマンスと満足度の高い車だと思います。

まとめると、下記のような感じですね。

・LEDが大量に使用され、一気にテクノロジーレベルが現代最高水準に
・インターフェースが革新的に進化し、これも現代最高水準に
・走る以外の「楽しさ」の追求
・身らしいパーツが強調され、よりミニらしく表情豊かになった
・静粛性、快適性が向上して万人に受ける車に
・一方多彩なオプションで様々な好みに対応できるように
・エンジンのポテンシャルは多分にかなり高い
・内外装の高級感が著しく向上
・これらを考えると割安

なお、どのディーラーにも同じ仕様(クーパーSだとサンダーグレーとボルカニックオレンジ)の車が届いているようですね。
ぼくは実車を見るまではボルカニックオレンジ一択でしたが、実際に車を見た後は「サンダーグレー」に非常に惹かれます。
サンダーグレーはもうちょっとメタリックっぽい色かと想像していたのですが、実際はソリッドに近い軍隊っぽい色で、ランボルギーニの「グリー ジョ・テレスト(イタリア空軍の色)」に近い、と感じました。
最近ではルノーやシトロエンでもこういった色をラインアップしていますし、アバルトもグレーを選べたり、と欧州でのグレー人気が高まっている ようですね。

最後になりましたが、試乗させていただいたミニ宝塚さんにはいつもお世話になり、大変感謝です。

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