●コラム/近況

ブランドの世界展開と「プレミアム」について考える

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ブランド企業の世界的展開が加速しています。GUCCIは90年代に入ってからトム・フォードをデザイナーに迎え、そしてITバブルに沸くアメリカ市場をターゲットにし急速な業績回復を遂げました。ルイ・ヴィトングループは強烈なM&Aを立て続けに成功させ、同じくアメリカマーケットでも成功を収めました。それまでの売り上げは日本に頼りっきり、というのが現状でしたが世界的に見てもバランスの良い売り上げ構成になったと言えます。この売り上げの伸びには、売れ筋や欠品をリアルタイムで把握し、売り逃しを最小限に抑えるシステムの稼動もおおきな要因と報告されています。逆に、日本市場をメインターゲットに定めたブランドも東京や大阪で出店加速中です。自動車ではBMWはひたすら販売台数を拡大し、われらがポルシェも大きく販売が伸び、倒産寸前の時期に比べると株価800倍、という数値です。ランボルギーニ、アストン・マーチンも好調ですね。そこで、「ブランド」とは何か、と考えます。

低価格なものはブランドといえるのか
普及したものはブランドといえるのか

という命題が出てくるわけですね。
MINIやスウオッチ、ナイキは低価格ですが、ある意味「ブランド」と言えます。そして「無印良品」もブランドとして確立されたと言えます。そして、普及したブランド。大きく販売量が増えたルイ・ヴィトン。巷の婦女子のほぼ全員が標準装備していると思われますが、それだけの普及率を誇りながらもやはり「ブランド」です。そして販売を伸ばしたBMW。これは普及が進んだにもかかわらず、よりブランドイメージが高くなったとも考えられます。同じような例はアウディですね。普及が進み、より普遍的な存在になったにもかかわらず、プレミアム性を感じさせる。という点ではブランド戦略の見本と言えるでしょう。
ポルシェは微妙です。大きくブレイクスルーしたBMW・アウディに比べポルシェは今でもステレオタイプなイメージを引き摺っています。販売面では確実に成功しており、高額ではありますがプレミアム性となるとやや落ちる印象もあり(一般の人に高級車メーカーを言ってみて、と言ってもポルシェはなかなか挙がらないと思う)ブランディング、という点では他のドイツのライバル達に劣るのではないでしょうか。ちょっと脱線しますがこれはスタイリング的な要素が大きく、逆に言えばドラスティックなデザイン上の変化を遂げたBMWの成功例とは対極にあります。販売が成功しているということはポルシェの持つステレオタイプなイメージを受け入れる層が多い、ということでもありますが、996以降の販売が伸びていると言うことは、その裏では従来のイメージとは異なるポルシェを求めている層も存在するということでもあります。ドラスティックに変化を起こすのか、微妙な変化にユーザーを慣れさせて徐々に変化してゆくのか、この先の戦略が期待されます。

ここで少し話を戻しますが、先のMINI、スウオッチ、ナイキや無印良品はブランドとして認知されています。しかし、プレミアムではありません。BMWやアウディは「プレミアム」ですね。ぼくは思うのですが、日本で一般にとらえられている「ブランド」とはこの「プレミアム」に置き換えることができるのではないでしょうか。
そして、この「プレミアム」性を持つのは他には無い独自の価値(クオリティ、パフォーマンス、デザイン、歴史)を持つ製品群のみであり、代替のきく製品はプレミアム性を持つには至らずに市場から消えてゆくのだと思います。

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