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風の名はアムネジア

2016/08/26

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ふと思い出したのが小説「風の名はアムネジア」。
朝日ソノラマ文庫、菊地秀行著。今で言うとライトノベルに分類されるかと思います。
菊地秀行氏といえば「ヴァンパイアハンターD]「トレジャーハンター」シリーズが有名で、じっさいぼくもほとんどは読んでいるのですが、それでも 氏の中でベストの一冊は?と聞かれると迷わずこれを推します(ほかの朝日ソノラマ文庫もけっこう読みましたが)。

そして、かなりの部分を正確に暗記している小説のうちの一つで、とくに「最後の一行」を覚えている唯一の小説でもあります(ぼくの記憶では、以前 に一度しか読んだことがないはずなのですが。ほかに文章をよく覚えているのは”華麗なるギャツビー”)。

内容としては、ぶっちゃけ「人類が全部記憶を失う」というもので、自分は誰か?というところはもちろん、モノの使い方といった経験値までも全て失 い、まさに人類が獣同然となってしまった、という世界が舞台です。

人類がつくりあげた文明や知性は付け焼刃でしかなかったのか、記憶を失うということはそれまでその人が苦労して身につけた知識、築き上げた知性す らも失うということなのか、ということがテーマですね。
その中で様々な事情で記憶を失わずにすんだ人々が数人いて、その中の一人から人々が記憶を失う前の世界のことや、言葉を教えてもらった少年が主人 公であります。
前半に比べて後半は内容が盛りだくさんで、そのぶんエンターテイメント色が強くなってしまうのが残念。反面前半はいろいろと考えさせられるところ もあり、やはりぼくとしては前半の重苦しい雰囲気をひきずって欲しかったなあ、と思います。

舞台はサンフランシスコからラスベガス、ニューオーリンズへ移って行き、ロードムービー的な要素を多く含んでいます。
サンフランシスコとロサンゼルスは直近でぼくが訪れた街ですが、訪問する前にこの小説を思い出し、現地でこの小説を読むとどんな感じだろうな、と 思ってこの小説を持って彼の地を訪れたわけですね(じっさい、サンフランシスコとラスベガスについて、ぼくの持つイメージと知識はこの本によって 形成されている)。

初めて読んだのは高校生の頃ですので、もうずいぶん昔になりますが、当時読んだ時にぼくが感じたこと、そして時と経験を重ねた今もう一度読んだ時 に感じたこと、それがまったく同じ、というのもちょっとした驚きではありました(多くの小説は読む時の環境や心理状態、年齢や経験、立場で印象が 変わるものですが)。

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