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コストコは成功し、なぜカルフールは失敗し撤退したのかを考える

2017/03/07

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日本市場は「特殊」だとよく言われ、これまでもウォルマート、カルフールなど欧米の大手小売が参入しては撤退、という状況が続いています。
その中、コストコだけが躍進を続けており、その謎に迫る記事がNewsweekにて公開に。
なお世界の小売業売り上げランキングだとコストコは2位、カルフールは6位、とのこと。

この記事によると、コストコの日本進出は1999年、カルフールは2000年。
コストコは撤退時の理由を「前向きなもの」とし、「アジア地域の成長市場に資本を集中させるため(要は中国重視)」と発表していますが、Newsweekによると、カルフールは日本進出時において、日本のメーカーと直取引を持ちかけたが、ことごとく拒否されたことが原因、としています。

つまり直取引ができない→問屋経由で仕入れる→原価が高い→でも日本の既存スーパーと価格競争を行う必要がある→利益が取れずに疲弊、というサイクルが生じたわけですね。

ここでぼくが思うのは、二つの理由があり、一つ目は日本の流通構造。
「問屋」は日本独特の機能とも言えますが、メーカーから大量に購入することでそのコストを下げ、仕入れた商品に利益を乗せて小売店に分配するもの。
これによって、販売力が小さくメーカーと直接取引できない小規模小売店にも商品が行き渡ることになります。
そして、これは日本の商慣習とも言えるもので、「メーカー直取引」そのものが一般的ではない、もしくはメーカー側が「問屋に配慮して」直取引を行わない、という慣習があるわけですね。

もうひとつは、「大手スーパーの圧力」。
日本の既存スーパーがメーカーに対し、「カルフールと直取引するならもうお宅の商品は扱わない」と圧力をかけることですね。
こうなるとメーカーは日本の既存スーパーと、新しく外国からやってきたばかりのカルフールとを天秤にかけざるを得なくなりますが、答えは明白です。

この二つが、「カルフールが商品調達構造において目論見が外れた」理由じゃないかとぼくは考えるのです。

さて、記事では「コストコの成功要因」について、「アイテム数を絞った」ことが勝因だとしています。
カルフールはアイテム数が7万点、それに対してコストコは4000点、とのこと。
これは「効率」という点ではなく、競合する既存スーパーに対して「脅威」と映らなかった、と記事では分析。

つまりカルフールは業態や取り扱い品目でも既存の日本スーパーと「真っ向から競合」するのに対し、コストコは会員制で、特定品目しか扱わないので「競合しない」もしくは「同じ商圏にあっても相乗効果を生む」と捉えられた、ということですね。

ここでぼくとして加えたいのは「商品の販売形態」。
コストコは「ホールセラー」という業態となっており、扱う商品のサイズが巨大。
これはアメリカでは一般的かもしれませんが、「買いだめ」をしない日本ではあまり一般的ではなく、それがさらに既存スーパーに対して「自分たちとは違う(もしくは”失敗するだろう”と軽視されていた)」と思わせたのではないかと思うのですね。

これによって、カルフールのときに日本の問屋が販売を断る、スーパーがメーカーに圧力をかけるということがなく、「すんなり」日本のメーカーから仕入れができたんじゃないかと考えています。

加えて、日本のスーパーが通常販売する商品とは「多少」異なる使用に変更して製品を販売するので、既存スーパーとは直接の競合が起こらず、これも「住み分け」ができた理由なのでしょうね。

なお、ぼくが毎日飲んでいる「ダイエット・ドクターペッパー」は日本メーカーの製品ですが、日本で購入できるのは「コストコ」だけ(他で売っているのはコストコで購入してきたものを転売している)。
ほかにもクノールや日清、ヤマザキパンなども同様で、「コストコ専用」で、かつ「ケース単位」で販売されているものがあり、これはどう考えても既存スーパーの主婦層が日常買いに来るような製品とは違う、ということになります。

欧米の企業が日本(もしくはそれ以外でも)へ進出する際には、「自分たちの標準を貫くか」「現地の商慣習に合わせるか」という方法があり、外食だとマクドナルトは前者、ケンタッキー・フライドチキンは後者と言われますが、それ以外にも色々な要件や条件があるんだなあ、と感じた次第です。

VIA:Newsweek

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